『黄金のアデーレ 名画の帰還』 デイム・ヘレンは格が違うぜ

『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015)アメリカ=イギリス
原題/Woman in Gold
監督/サイモン・カーティス
出演/ヘレン・ミレン  ライアン・レイノルズ  タチアナ・マズラニー他



黄金のアデーレ


1998年、ロサンゼルス。
マリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は亡くなった姉の遺品の中から彼女たちの故郷オーストリア政府に対し戦時中にナチスにより没収されたある絵画の返却を求めた書簡があるのを発見する。
グスタフ・クリムトの世界的名画「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」は、マリアたちの叔母アデーレを描いた肖像画だったのだ。
姉の要求は却下されていたが、法改正により近々過去の訴えの再審理が行われるのを知ったマリアは、友人の息子で弁護士のランディ・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)に相談を持ちかけるのだったが。


黄金のアデーレ
まじキンキラキンのアデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像


黄金のアデーレ
叔母のアデーレと幼いマリア  


黄金のアデーレ
オーストリアに渡りマリアとランディは叔母の遺言を調べるが...


アメリカに暮らす82歳の女性がオーストリア政府に対し「オーストリアのモナリザ」と称されるクリムトの世界的名画 ”アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像” を「返却せよ」という訴訟を起こした実話を『マリリン 7日間の恋』のサイモン・カーティスが監督。
主演はみーすけが愛してやまないデイムの称号を持つイギリス人女優ヘレン・ミレン様♡
若きアメリカ人弁護士ランディに、スカ子→ブレイク・ライブリーと、いい女を渡り歩くライアン・レイノルズ。


ロサンゼルスで小さなブティックを切り盛りしながら暮らすマリア・アルトマンは唯一の肉親であった姉を亡くしたばかり。
姉の棺に掲げられたダビデの星。マリア達姉妹がユダヤ人であることが分かります。
姉妹は裕福なユダヤ人資産家の子女だったのですがナチス侵攻下のオーストリアからアメリカに逃げてきており、当然家、財産、多数の美術品まで全てをナチスに略奪されていました。


黄金のアデーレ
ほんとマジむかつくファッキン・ナチ!


その中にあったのが、あのクリムトの絵画”アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像”
これはマリアの叔母アデーレを描いたもの。戦後絵画はナチスから返還されます。
しかし叔母アデーレの遺言を元にオーストリア財産として美術館所有に。
亡くなった姉はその遺言に不備があるとして肖像画の正当な所有権を求めオーストリア政府に返還を求め、訴えを却下されていたんですね。
なんとか再審の道はないかと模索するマリアと若き弁護士ランディが出会い、共にオーストリアに渡り絵画の所有権を決定づける証拠を求めて調査を始めるのですが・・・。

黄金のアデーレ
江戸っ子下町の威勢のいい叔母さんみたいなマリアが超チャーミング


黄金のアデーレ
二人のバディ感が非常にヨロシイ!!


なんちゃって美術部出身のみーすけ、実はクリムト大好き。
「ウィーン世紀末展」で何点か来日したときも「うきょっきょーー♡」と見に行きましたともさ。
有名な「接吻」はもちろんのこと、大好きな「ダナエ」や「ヌーダ・ヴェリタス」のカードを購入しパウチして持ち歩いてたら男友達が「へへ、おっぱいモロ」。
・・・っっきっさま!!げっげーーーーじつがっわっからんのかぁぁぁぁあ!!!
なんて事があったクリムト(関係ないか)。
その!クリムトの絵画にこんな逸話があったなんて全く知らなんだわー好きなくせにね てへ♪


黄金のアデーレ
因みにこれが問題の「ダナエ」 美しい・・・。


ナチスが台頭していた第二次大戦中のヨーロッパ全土で、多くのユダヤ人が人としての権利を剥奪され、財産を没収され、拘束され、数多の尊い命が奪われた事は周知の事実。
当時のナチスは資産家のユダヤ人から没収した膨大な数の美術品や貴金属をヒトラーに献上したり、或いは個人的所有物にしたり贈答したりとやりたい放題。
つい最近公開されたジョージ・クルーニー兄貴監督の『ミケランジェロ・プロジェクト』と本作は同じ題材、ナチスによる略奪された美術品の行方を描いていますね。
兄貴が描いたのは大戦末期の絵画奪回作戦。
本作は戦後何十年も経って、絵画のもともとの所有者が権利を取り戻すまでの紆余曲折が語られています。
題材同じなんだけどね、映画の重さが違ったわー。兄貴の作品決して悪くなかったけど、比べるとやっぱ軽かったかなー。


ミケランジェロ・プロジェクト
え?!まさかのダメ出し??


物語は現在のマリアとランディの行動を追う現在と、マリアの過去を交互に語りながら進みますが、この演出が非常にスムース。
遺言書の調査のため、渡米以来一度も戻ることのなかったオーストリアへ降り立つマリアの瞳に懐かしい街並みが映り、その風景に過去の映像がオーバーラップします。
観客はマリアの目を通して彼女の記憶の再生を共有するよう。
これ、ものすごくクるw
思い出の風景だけでなく、過去の経験や感情までもを同時に追体験してるように感じるのは監督の演出の巧さだな。
幸せの絶頂のマリアの結婚式、夫となる人のオペラを聞きながら両親、姉、叔父、友人たち皆の笑顔。
ナチスのオーストリア侵攻に関して話す父親と叔父の会話に観客は思い切り不安を感じます。その後の歴史を知ってるからね。
でも叔父から叔母アデーレの形見のネックレスを受け取るマリアの輝くばかりの瞳にはまだ翳りさえなくて・・・うううう切なス~。
若いマリアを演じたタチアナ・マズラニーがめちゃくちゃ印象的。
強い意志をもつ瞳が、「あ、年取ったらヘレン・ミレンになんのね!」ってスイっと受け入れられるってゆーか。
知らんわーカナダの女優さんなんだね。覚えとこっと。


黄金のアデーレ
え?邦画に出てるの?へー、邦画観ねーわー。


絵画の権利は戻るのか?!というメインテーマと合わせ、本作は若き弁護士ランディの人間的成長物語でもあるんなだ。
実はランディもオーストリア人の血を引く家系の出。
父は成功した資産家、祖父は世界的に有名な作曲家。
自分は小さな法律事務所を立ち上げるもうまくいかず雇われ弁護士としてアップアップ。
知人からまず父や祖父の事を聞かれる重さに辟易しているランディ。
自分の体に流れるオーストリア人の血をたぶんランディは疎ましく感じていたはず。
当初は絵画の価値にだけ興味を持ち仕事を引き受けていたランディがマリアと共にウィーンを訪れることにより、自分の中で何かが大きく変わった事に気付きます。
ナチスにより曽祖父母らが殺されているのは知っていた。
ただの情報だったそれが初めて我が事として心に触れ感じた哀しみと怒り。
ランディの心の大きな揺れを、小さな演技で的確に伝えたライアン・レイノルズがいーわー。


黄金のアデーレ
『ランディの成長物語』ってサブタイトルだな!


えーっとね、謝ります。ごめんねライアン!!
みーすけ、今までかなり大胆にバカにしてたよー別にそんなハンサムでもないのに女ゲットしてるよなーとか、演技上手いか?とか。
ごめん!!土下座はしないけど!いやぁ~デイム・ヘレンを向こうに回し、ライアンあなたは頑張った。
時には挫けそうになるマリアを鼓舞して、社会人として、男として、人として成長するランディが爽やかで、2015年みーすけのごめんねランキングにランクインか?!
因みにランクインの筆頭はキアヌ=ロンリー・リーヴスさんかと。


黄金のアデーレ
お前土下座な  はいぃぃすません...。


ま、しかし主演だよねーやっぱ。
ええ、デイム・ヘレン・ミレン様!!
もーねー、いつものシルバーブロンドを茶色く染めて、思いっきりおばさんパーマをかけたマリアを演じたヘレン姐さん。
あーもーやっぱ上手いわ魅力的だわチャーミングだわーー!
初対面のランディにポンポンと言いたい事をいう気風の良さと肝っ玉。
辛い体験を乗り越えてきたからこその彼女のキャラクターに魅せられるのはヘレン・ミレンの血の通った演技力あってこそ。
現実は次々とマリアに逆風を送ります。
何度も「もうだめだ」と諦めそうになるマリアは、その度に薄い唇をきギュッと引締め、ツンと顎を上げ強い瞳で前を見つめ前進する。
彼女の強い意志に何度涙腺を崩壊させられたことか。


黄金のアデーレ
エンディングでのマリアの表情に涙腺崩壊 勘弁して


マリアが本当に取り戻したかったのは「絵画」ではないんだという事。
そのために前に進むマリアの表情や言葉が強く胸に響いてわたしゃーもー劇場で鼻水らだだら出ちゃうほど泣けました。
姐さん堪忍💧


黄金のアデーレ
70歳にしてゴージャスな花柄ワンピを着こなす輝きってば!


わたしこのヘレン姐さんって女優の中でナンバーワンに好き。
絶世の美女では無いけど(あ、失礼)チャーミングで、艶があり、可愛く、しかし迫力があり、強く、しかし脆さも表現できるデイムの称号に遜色ないその演技力。
『第一容疑者』で衝撃を受けてからずーっとずーーーっとお慕い申しておりますぅぅ。
先日、東京国際映画祭で来日したときも、シルバーブロンドに似合う真っ白なドレスがゴージャスでその辺にいる芸能人がみんな素人に見えたもんね。
格が違う!って事だーねー。


黄金のアデーレ
ほほほほほ!皆の者頭が高いぞよ!!


あ、あとねこれぞ出てるだけ感溢れてたーチャールズ・ダンス様。
ダンス様を見くびるなよ――!

黄金のアデーレ
需要あんだよ


最近モーガン・フリーマンばりにあちこち出まくってますが。
化け物から軍部のトップまで役幅広いんだからね!
英国紳士なんだからね!誕生同じ日でてんびん座なんだからね!!
『全みーすけ面長連合』登録済みなり。


黄金のアデーレ
あざとく笑う69歳。 面長は正義!

役者の素晴らしい演技、スリル感溢れる演出、ハンス・ジマーの情緒たっぷりな音楽と素晴らしい絵画。
本当に取り戻したかった物を得たマリアの表情に涙腺崩壊でした。
これ観てーーぜひ!



※※※ちょっとファス情報

最近わたくしの天使、ファス田ベン造ことマイケル・ファスベンダーがあちこちの映画際でノミネートと受賞を繰り広げております。
毎日のようにタイムラインに落ちてくるファス情報で頭の中は日々お祭り騒ぎで落ち着きませんわ。
嗚呼!『Steve Jobs』を我切実に所望ス!!
ふしゅううぅぅぅぅ...。


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2月の公開まで長すぎるぜ!!

ちょっとファス情報のコーナーでした。
さらば!!
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