「世にも怪奇な物語」 トラウマ映画シリーズ その二

「世にも怪奇な物語」 (1967) イタリア=フランス
原題/Histoires extraordinaires
監督/ロジェ・ヴァディム ルイ・マル フェデリコ・フェリーニ
出演/ジェーン・フォンダ アラン・ドロン テレンス・スタンプ

世にも怪奇な物語

世にも怪奇な物語

お盆ですね。 お帰りなさいご先祖さま。
ツンデレパソコンが復活してくれたので連続で記事アップです。
時期的に納涼ホラーってことで準備しながら何度も電子の藻屑になった記事。
脳内サルベージでやっとホラー映画の古典的名作 「世にも怪奇な物語」の紹介。

恐怖と宿命はいつの世にもある
それゆえ わたしが語る物語に日付は必要ない

というモノローグで始まるエドガー・アラン・ポーの原作を 3部構成のオムニバス形式で フランス、イタリアの名匠が監督した作品。
子供の頃テレビの洋画劇場でよくやってたこれ、みーすけのトラウマ映画の一つなんですよね。


第一話 黒馬の哭く館 
原題/Metzengerstein
監督/ロジェ・ヴァディム

世にも怪奇な物語


若く美しいメッツェンゲルシュタイン伯爵家の令嬢フレデリック(ジェーン・フォンダ)は女王のような我儘な振る舞いで周囲をいいなりにしていた。
幼児期を過ごした城に家臣を引き連れ訪れたフレデリックは、森の中で従兄であるウィルヘルム・ベルリフィジング男爵(ピーター・フォンダ)に出会い心惹かれる。
しかし、日頃の彼女の振る舞いに軽蔑の感情を持っていたウィルヘルムは彼女を拒絶する。
プライドを傷つけられたフレデリックはウィルヘルムの馬小屋に放火するが、愛馬を救おうとした彼は焼死してしまうのだった。

世にも怪奇な物語
この頃のJ・フォンダの美しさって ちょっとハンパない

え~と、ぶっちゃけ怖くも何ともございません。
ただただJ・フォンダと当時夫婦だったヴァディム監督の嫁自慢っちゅうか、彼女のコスプレ映画なんですがね。
でも、退廃的でデカダンな雰囲気や映像の美しさは間違いなし。
冷酷で奔放、快楽のみを求める若く美しい伯爵夫人を演じるJ・フォンダが本当に魅力的。

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次々と着替える彼女のコスチュームがどれもこれも素敵。 これなんかアニメのキャラかっちゅ~ね。

愛した男の魂が乗り移った(であろう)黒馬に運命を翻弄されてしまう女を、アイドル顔負けの美しさで演じるJ・フォンダ。
ヴァディム監督がオレの嫁超可愛い~♪感満載で演出してます。

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イケメ~~ン

フレデリックが恋焦がれ、結果として殺してしまうウィルヘルムを演じるのはJ・フォンダの実弟ピーター・フォンダ。
女王然としたフレデリックのモーションをシレっとかわす若きP・フォンダが男前なんだなこれが。 
顔が長くて素敵♡ ←重要
今冷静に観てみると姉弟で何をやってるのだ君たち、なんだけどね。
考えてみたら、監督の嫁と義弟というなんともアットホームなキャストな映画。
父親のヘンリー・フォンダが出たら完璧だったのに。
自分の犯した罪ゆえに全てを失うツンデレ女の愚かさと悲しみを描いているという感じでしょうか。
怪奇でもなんでもございませんが、J・フォンダのコスプレとちょいエロを楽しむ軽いジャブって事で。

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最近親父元気か?  知らん


第二話 影を殺した男 
原題/William Wilson 
監督/ルイ・マル

世にも怪奇な物語


寄宿学校に通う狡猾なサディストのウィリアム・ウィルソン(アラン・ドロン)
彼の前に彼と正反対な性格をした同姓同名のうりふたつの男が現れ、事あるごとにウィルソンの悪事を妨害する。
数年後、軍隊の士官となったウィルソンは賭博場で出会った美しい女(ブリジット・バルドー)とカードの勝負をする。
イカサマで勝利したウィルソンは、支払いの出来ない女を大勢の目の前で上半身裸にし、ムチ打つ。
ところがまたしてもそこへもう一人のウィルソンが現れインチキを暴いてしまう。
怒りに駆られたウィルソンは、もう一人のウィルソンを追いつめ決闘を仕掛けるのだった。

世にも怪奇な物語
踊ってるんじゃなくて、ムチ振り回してるんだよ~ん♪

自分そっくりで性格が正反対の男に翻弄されるウィルソンが、教会で神父に自分の犯した過去の罪を告白することで始まる二本目はルイ・マル監督作品。
冷徹でサディスト、善良さの欠片もない主人公ウィルソンをアラン・ドロンが好演。
青い瞳の中から冷徹な主人公の残虐さが滲み出ていて、ドロンの魅力をよく分かっているルイ・マル監督の演出が冴え渡っています。

世にも怪奇な物語
男前ですって? ええ、その通りですがそれが何か?

自分と瓜二つの人間の出現により人生を狂わされる男というドッペルゲンガーっぽいストーリー。
つい最近観た「複製された男」も同じようなテーマだったし、人生何度目かのマイブームで再読してるブラック・ジャックの「人面瘡」も似たような話だな。
冷酷なアイデンティティーの人間が自分の影=相反する存在 に怯え抗い翻弄されるというのは物語として魅力的だし、短い時間でウィルソンの過去から現在までをコンパクトにまとめ上げた展開は三本中一番面白いかも。
自分の分身的な人間が幻ではなく、周りの人間にもちゃんと見えていて、次々と行動を邪魔される事でどんどんフラストレーションを募らせていく主人公。 
てか、いい加減に懲りて改心せーよウィルソン。

世にも怪奇な物語
やなこった

若きウィルソンを演じている顎エクボのある少年がアラン・ドロンと風貌がよく似ていて、よく見つけてきたなって感じ。
医学部時代に弄ばれる金髪の真っ裸のオネエちゃんも美人でなかなかエロいです。
また、酒場で出会ってウィルソンとカードゲームをするタカビー女をB・Bことブリジット・バルドーが演じていて豪華キャストはルイ・マル監督の人脈でしょうね。
ムチを打たれてヒーヒーするのを周りが嬉しそうに眺めるサディスティックな男性サービスな展開。
あんまり痛そうじゃなかったけど、B・Bの繰り出す、7往復ビンタも観れます。

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支払い出来ないからってムチ打ちするなんて。  周り止めてよ!

ラストの展開でのなんとも言えない不気味さ。
昔、淀川さんが解説で 「はい、だんだん だんだん怖くなってきますね」って言っていたのを未だに覚えてます。
もう一人のウィルソンの存在が何者なのか、冷酷ウィルソンの運命も観ていてボンヤリと分かるんですが、エンディングで感じる薄ら寒さ、気味の悪さがなんとも言えず嫌ぁな後味な良作です。

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おりゃ!死ねや!   あ~あ、お前さん殺っちまったね・・・


第三話 悪魔の首飾り
原題/Toby Dammit 
監督/フェデリコ・フェリーニ

世にも怪奇な物語


イギリス人俳優のトビー・ダミット(テレンス・スタンプ)は、かつて華々しい世界で名声と賞讃を欲しいままにしてきた。
しかし今や、アルコール中毒により長く仕事もなく落ち目になっていた。
そんな彼にイタリアから新車のフェラーリを報酬に映画出演の依頼が来る。
イタリアの地に降り立ったダミットはくだらないテレビのトークショーに出演し、支離滅裂な回答でインタビューに応じる。
ある映画祭へゲストとして出席した彼は得体の知れない不安を感じ酒を飲み続ける。
とうとう逃げるように会場を飛び出したダミットはフェラーリに飛び乗り夜のローマの市街地を疾走するのだった。

世にも怪奇な物語
ダミットがフェラーリを餌に出演を決めた映画はカトリック仕立ての西部劇。 ・・・なんだそりゃ。

なんといってもこの映画、三本目を観なけりゃ意味がないでしょう。
アルコールと薬で落ち目になった役者が異国の地で悪魔的な物に魅入られてしまうというストーリー。
フェデリコ・フェリーニ監督の演出にテレンス・スタンプの名演と”あの少女”の表情。
時代考証を現代のローマに置き換え、原作のニュアンスをちゃんと抑えながら、これぞフェリーニという作品に仕上げているのはさすがです。
って偉そうに語れるほどフェリーニ作品、数観てませんすみませんゴメンなさい。
でもフェリーニの作家性溢れる素晴らしい演出、世界観に魅了されます。

世にも怪奇な物語
空港のインフォメーションスクリーンや造形がちょっとSFっぽくて独特

冒頭の紅に染まるイタリアの空港シーンで、その映像の独特さにまずギュッと心を掴まれます。
近未来的でポップな造形。またそこで映し出されるその他大勢のモブたちの容姿、形相、佇まい。
連なり歩く尼僧、祈りを捧げる異教徒、酔っ払い、仮面をつけてベンチで眠る人々。
みなどこかユーモラスなのに、どことなく不気味さを感じるのが面白い。
異次元な世界観に不思議な魅力を感じます。

世にも怪奇な物語
パントマイムのように手のひらに何かを乗せるダミット。 彼にしか見えない少女の正体は・・・

何より特筆すべきは主人公トビー・ダミットを演じるテレンス・スタンプの迫真の演技ですね。
出てきた途端 あんた死人か?というくらい青白い顔で酒とドラッグでぼろぼろになったダミットの幽鬼のような表情。
わたしのテレンスさんの印象って このトビー・ダミットと「コレクター」の変態君だったものだから、「プリシラ」観たときはぶっ飛んだもんです(笑)

世にも怪奇な物語
地かな?と思える程壊れ感満載のテレンスさん。 実際70年代は薬漬けだったとか。

ダミットが出演するテレビのインタビュー番組や、チープ感炸裂な映画祭の演出も超ツボなんですよ。
コミカルなのにどこか油断ならないような緊迫感が溢れていて、ダミットの異国での疎外感、緊迫感が伝わってきます。
映画祭に参加している人々もどこか存在感がおかしくて、迷宮で繰り広げられる訳の分からないヒヤリとした恐怖感が徐々にエスカレートしていきます。

世にも怪奇な物語
気持ちの入らないインタビューに答えるダミット  テレビ局のセットがツボだ~。

世にも怪奇な物語
じぇんじぇん権威感のない映画祭。  なんでしょうかこれ?

独特の映像に合わせ全編に流れるニーノ・ロータの音楽がとにかくハマッてます。
そして少女が現れる度に流れるピアノの戦慄・・・。こ、怖い・・・。
みーすけの 「音楽だけで恐怖を感じる映画トップ5」 に入るな。
ちなみに他にはエクソシスト、シャイニングやオーメンとかが入るんですけどね。

世にも怪奇な物語
黄色のフェラーリを爆走させるダミット 精神倒壊一歩手前だな 

ダミットが会場を飛び出し、フェラーリを運転してローマ市街を滑走する後半、映画は一転気味悪さ一色になります。
狭い道を高速で走るフェラーリからのジェットコースター級なスピート感溢れる映像に生きて生活する人物は殆ど映りません。
全てカキワリやマネキンや人形。話しかけてもニヤニヤ笑うのみで答えない障害者。
ダミットが既に違う世界に足を踏み込んでしまった様子が見て取れて、彼の結末を彷彿とさせます。
そして倒壊した橋の向こうに再び現れる金髪の少女。

世にも怪奇な物語
うふふ・・・ねえ、遊びましょうよ・・・。   しょえええ・・・・

ああ、やっぱり気持ち悪い。 でも抗えない悪魔的魅力を感じてしまう少女のこの表情。
ツボ過ぎて、当ブログのアイコン画像に使ってる少女の顔。
悪魔的存在は案外、こんな風に可愛い少女のような無垢な姿で自分の近くにそっと近づいてくるのかもしれません。
髪に隠れて覗く少女の顔の不気味さったら。
も~、子供の頃、本当に怖くて怖くて、しばらく夜中にトイレに行けなかった。
大人になった今見てもやっぱり背筋にひやりと冷たい物を感じます。 よくこんな少女見つけてきたな。
彼女に魅入られてしまったダミットのラストも必見。
ドバドバ血がでたり迫力ある映像のホラーに慣れた人でも、この独特の雰囲気はかなり不気味で楽しめるかと。

世にも怪奇な物語
おじさん、遊びましょう・・・    な、何しますかぁぁ?

映像技術が発達した最近のホラーも楽しめるけど、たまには本作のような古典的名作もいかがでしょうか?
各監督の色がそれぞれ出ていて、その違いを楽しめるのもいいかと思います。
皆様よいお盆をお過ごしくださいね。
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世にも怪奇な物語

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みーちゃんの解説が楽しいので、怖そうな感じないねんけど(笑)
アイコンにするくらいだから見応えあるのね。

Re: タイトルなし

め ちゃん

うん、子供の頃怖かった・・・
ホラーなのについついちゃかしてしまう性がぁ(汗)
とても雰囲気ある映画なので機会があればぜひ観てほしいな。

No title

いかん、これ観よう観ようと思いながら未見。
みーすけさんのアイコン、最初はみーすけさんご本人かと思ったんだけどw
そんな怖い子の画像だったんだ。
チェックせねば。

Re: No title

pu-koさん

わたしはこんな悪魔的魅力あるブロンド少女ぢゃござらん!!(笑)

今の刺激のあるホラーを観慣れてると少々生ぬるいかもしれないけど、心理的に
ぞくぞくする感じはやっぱり「巨匠」たちの手腕ゆえかと。
多くのクラシック映画ファンが絶賛してるだけの事はあると思うの。
ホラーの古典だね。ぜひ観て!


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いらっしゃいませ
天邪鬼なので映画の好みも多少偏りありです
毒も吐き、妄想も垂れ流しますが笑って許してくださいませ
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