『タクシードライバー』 畏れ多くも・・・ You talkin' to me?

『タクシードライバー』 (1976)アメリカ
原題/Taxi Driver
監督/マーティン・スコセッシ
出演/ロバート・デ・ニーロ  シビル・シェパード  ハーヴェイ・カイテル
     ジョディ・フォスター  アルバート・ブルックス 他







アメリカ、ニューヨーク。 ベトナム帰りの元海兵隊員トラヴィス・ビックル(ロバート・デ・ニーロ)は戦争によるPTSDにより不眠症を患っていた。
小さなタクシー会社に採用されたトラヴィスはタクシードライバーとして街を走り始める。
盛り場の退廃ぶりに日々嫌悪を感じ、街中にいても暗い孤独のなかに沈むトラヴィスの神経は日々疲弊していく。
そんなある日、次期大統領候補パランタインの選挙事務所で見かけた女性ベッツィ(シビル・シェパード)に強く心魅かれたトラヴィスは彼女を強引にデートに誘うのだったが・・・。



お前、「神映画」いじるつもり?


あうあうあう~~すみませんすみませんすみません。
夏バテ絶好調なわたくし如き残念ブロガーふぜいが記事を書いてもよかですか?!って緊張して指が震える作品。
アメリカン・ニューシネマの代表的作品の一本であり、スコセッシ+デ・ニーロ黄金コンビ快進撃の始まりの作品。
カンヌ映画祭パルムドール賞受賞。
心を病んだ1人のタクシードライバー、その内面の狂気と澱を描いた物語。
『タクシードライバー』ですがよろしいか!?



い、いじりません、いっぱいは、いじりません、ちょこっとだけ・・・


ううー緊張する(笑)
こーゆー名作で大ファンがいて(ワシも)物凄く高尚な文章で沢山の方が色んな考察を延々何十年もされている作品のレビューを書くことになるとはね!自分でもビックリだよね!そりゃ緊張するよね!
もうすぐ公開の『ナイトクローラー』で、主演のジェイク・ギレンホールのキャラがトラヴィスを彷彿とさせるって何かで読んだら「再見したくてしょーがねー病」が発病しましてね。
いつものみーすけクオリティなレビューですがお付き合いくだされ。

主人公のトラヴィスはベトナム帰り。
PTSDによる不眠症を患い、普通に生活する事が困難になっている。
人付き合いが苦手な彼は友人も無く、眠れない夜をポルノ映画を観たり地下鉄に延々と揺られることでやり過ごしていたが、タクシー会社に採用されドライバーとして働くことになる。



身も心もクリーンだ  色白デ・ニーロちょい気味悪いス


客が指示すれば、ニューヨークの至る所へ車を向けるトラヴィス。
摩天楼の街で目にするのは暴力と性欲と麻薬に溺れる人々。
それらはトラヴィスの倫理観を激しく逸脱する屑ばかり。
トイレの水を流すようにそんな汚れた人々、街を一掃させたい。
ぐるぐると頭の中を巡る独白は、やがてトラヴィスの精神を蝕んでいく、ゆっくりと、しかし確実に・・・。


taxi driver
冒頭のトラヴィスのモノローグとバーナード・ハーマンの音楽がカッコ良すぎだってば。


実はこれ映画館で観たことないんですよー、す、すません ほんと。
初見はたぶんNHK-BSの名作劇場系。 
70年代映画の面白さに目覚め貪り喰い出だし頃。
まず思ったのが。
「うわ!かっこいい・・・」 (青かったんです)
赤みを帯びた70年代のニューヨークの夜の映像はクラシックなのにぐいぐい胸に浸食してくるリアルさ。
そこに被さるバーナード・ハーマンのご機嫌なJAZZ。
映画としてものっ凄くかっこいいですよね。 いや、未だにそう思う。

タクシーという閉塞された空間にいるトラヴィスの目が見る風景や情景は、猥雑で汚く雑然としている。
それらを毛嫌いし罵詈雑言を頭で繰り返すトラヴィス。腐敗した社会に対する怒り、虚しさ、圧倒的な孤独感。
トラヴィスの憤怒がなぜか近親憎悪に感じたんです。


taxi driver
いちいち目線が怖いんだよー。  笑ってボブ♡ ←なれなれしい

いやぁ、しかしこの映画って やっぱデ・ニーロだよねーー。
既にボブ←だからなれなれしい? の凄さは分かってて、出演作を何本も観ていたけれど、彼のオリジン的作品を観たのはこれが初めて。
ヒョロっと痩せて青白く、笑ってるのに目が笑ってないトラヴィスの薄気味悪さ。
じわじわと胸に溢れるのは漠然とした不安感と恐怖。
デ・ニーロを「気持ち悪い・・・」と思ったのが初めてでした。


taxi driver
有名なエア・ピストル。 血の滴がポタって落ちるんだよなー。


てゆーかですねーこのトラヴィスって男、ぶっちゃけベトナム帰りでメンタル病んだというより、もともとちょっと変だとおもいません?
何度鑑賞しても、未だわたしの中でトラヴィスってすっげー謎。
あ、トラヴィス・マインドが分かっちゃうとある意味まずいのか(笑)
今で言うところの、いわゆる不思議君とか、イキナリ世間を騒がすトンデモ事件起こす系とか。
近所や同僚の評判は「物静かな人だった」「会ったらきちんと挨拶する人でした」なんてね。

トラヴィスが夢中になるベッツィへの対応も最初からちょっと変でしょう。
都会の汚物(トラヴィス目線)の中に忽然と現れた天使、ベッツィ。
「嗚呼 ベッツィ ベッツィ ベッツィ、くっそ、ラスト・ネーム聞くの忘れた、俺ってバカ」
なんて日記に書いてるトラヴィス。
最初っから付け回して見つめてぶっちゃけストーカーやん。デートの誘い方も仕事中の事務所に押し掛けですよ。
映画だから「ふーん」って観てるけど、冷静に考えたら、強引とかをすっ飛ばしてちょっとこいつ危ないじゃね?って感じしません?


taxi driver
初デートにはフルーツサラダとアップルパイでよろ


で、まあ初デートは不思議君のパワーがいい方に振れて、「ちょっとこの人不思議で素敵♡」ってベッツィは思うわけだ。
で、映画に誘われてOKするわけですが。
まーこれ、このトラヴィスのチョイスあり得ないでしょ? 変だよね?
会ったばっかでモーションかけてる真剣交際求む系女性を、デートで肌色多め・・・どころか、もろポルノ映画に連れてったら、どうなるかなんて普通わかりません?!
その辺りの事が分からないトラヴィスってやっぱ変ですよね?別にベトナム帰りだとかPTSDだとか関係無いよね?
そんな困った不思議君は、ベッツィに当然振られて、なんか変な方向行っちゃうんですよねー。

taxi driver
イキナリポルノ?!  いたたまれない(笑) ベッツィ帰ろう、帰っちゃおう!!


自分を受け入れてもらえない鬱憤はベッツィに対する怒りという発露を取るのだけれど。いや、あんた、自業自得だよ?って思わずにいられない。
まあ、ちょと常識から外れ系の青年が、戦場で(多分)自分の命を落とすほどの恐ろしい目にあってしまう。
そうまでして戦ったのは祖国の為なのに、戻ってみると自分の回りには友人も家族もいない孤独な毎日。
自分が守ったはずの世間は欲望と汚れに満ちたクソ。
こんなものの為に俺は命を掛けて戦ったのか?
コンナハズジャナカッタ・・・
トラヴィスの歪んだ怒りの矛先は自分を拒絶したベッツィと、彼女が崇拝する大統領候補パランタインへ向かう・・・のがよくわかんないよね(笑)



くっそーーー!の方向が変。これがトラヴィス・クオリティ



出たーーーーー!!!

この「You talkin' to me?」ね。
デ・ニーロ 、You talkin'って検索途中でババババって関連記事、画像がヒットする映画史に残る名台詞と名場面。
これがシナリオには特に何も記載されておらず、「鏡を見て独り言を言うトラヴィス」という台本からデ・ニーロがアドリブで演じたのは有名な話。
もー、何度観ても痺れるし、イッチャッてるし、デ・ニーロのトラヴィス憑依度に鳥肌が立つ場面です。


気持ち悪いデ・ニーロを思いきり堪能できる本作ですが、同レベルでキテるのがこちら。
ハーヴェイ・カイテル演じるポン引きのスポーツ!



実はズラでーーす♪


しょーーーーもないポン引きなんですけどね。
ロン毛がむちゃくちゃ似合ってなくて笑える。小指の爪が長くて、しかも赤いマニキュアしてる。で、目玉の形の指輪してる。
笑えるーー!のにアイリスはタブラカされて、性産業の道具に自ら進んで落ちてるんですよね。



俺に愛されるお前は世界一幸せ だそーです・・・

田舎から家出してニューヨークにやって来て、まんまと悪い大人に利用されるイージー、本名アイリスを演じるジョディ・フォスターはこの時たった13歳。
凄ぇーわ。
やっぱ天才なのね、彼女。
ジュニアハイになったばかりのジョディの演技力ってば。
いや、もう何も言えねーな。
純粋で危ういアイリスの脆さ、可憐さを見事に演じる彼女に文句言う人なんていないだろーね。
デ・ニーロのキラーパスのようなアドリブにもしっかり食いついて演技したそうな。デ・ニーロはジョディを女王様のように扱ったとか。うん、わかるわかる。脱帽です。



トーストに砂糖かけるのは美味しいのか?


スコセッシの演出は冴え渡り、狂気に突っ走るトラヴィスに全く欠片も同調も出来ないのに、その歪んだ怒りに翻弄されながら共にエンディングまで一気に魅せられる。
凄いわ凄い。やっぱ凄ぇー映画だわ。
ハッキリ言って、トラヴィスって単なる基地外野郎で、彼の頭の中に渦巻く狂気は矛盾と混沌で溢れかえっている。
そして本当に怖いのは、望んでもいないラストの皮肉な結果。
本来ならば犯罪者、社会病質者として壁の向こうへ送られるべき男は、皮肉な偶然によりヒーローになってしまう。
勿論それはトラヴィスが望んだ物とは違う結果。
彼の中の歪んだ怒りの欲望はまだ沸々と生き続けていて、自己顕示欲は満足していない。
この男はこの先また狂った頭で生み出す狂った自己表現を果たすため再びとんでもない暴挙に出るんだろうな、というエンディング。
今夜も狂気がタクシーを運転し続けている。




トラヴィスの中の狂気は未だ成長を続けている


あったまおかしーぜこいつ!!
って思ってるのに、ああああ!デ・ニーロカッコいいーー。
痺れる。
この不世出の天才役者の凄さ、素晴らしさをありありと堪能してしまいます。
そして、デ・ニーロが役者として快進撃するきっかけとなる本作を監督してるのが、スコ爺。
あ、この頃はまだ爺ではないか、まあいいか。
スコ爺は選挙事務所の前にたむろするヒッピー風男性と、タクシー乗客のダブルキャストで自ら出演して予算削減に頑張ってます。
この妻に浮気されたという乗客がこれまた、気持ち悪ぅーいぜ☆



スコ爺の演じる客、 こいつも大概いっちゃってるから

なんというか、スコセッシとデ・ニーロがこの時代に一緒に映画を作ったという出来事は映画史の奇跡であり宝ですね。
いやー何度観ても面白い。ダークな魅力溢れる狂気の名作です。

こんなに凄かったデ・ニーロがさー、最近すっかり残念な感じになっちまってさー、ううう、悲しい。
やっつけ仕事ばっかしじゃん。ガツンとしたデ・ニーロの演技が観たい💧
老兵は去るのみですか?いや、ボブはできる子なんだから!
大ファンだからこそ、震える程の貴方の演技が観たいんですよ!!

超上から目線の自分が怖い。
みーすけへの苦情は事務所を通してください。
さらば!!



素顔は非常に穏やかで温和なボブ (会ったことあんのか)

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tag : ロバート・デ・ニーロ

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No title

おわーー、名作来たね~。
うんうん、このデ・ニーロは気持ち悪くて怖かった。
トラヴィスになりきって殺人事件を起こす人も出たらしいね。
もうそういう人には映画の域超えちゃってるんだろうな。
なんというカリスマ性。


恥ずかしながら映画の見方もよくわからん頃に一回しか観てなくて
良さもまだよくわかってないと思う。
みーすけさんちでおさらい映画いっぱい教えてもらってるの
いつか一気にいっときたいっす。



Re: No title

pu-koさん

この手の名作いじるのって怖いわー(笑)
トラヴィス気持ち悪いのにカリスマ性があるんだよー。
憧れた頭の回路のおかしい人が変な行動取ったりしちゃうのかな。
演技もそうだけど、映画としての力というか、あふれ出る映画力が凄いんだろうな。
スコ爺もデ・ニーロも若くて、これから素晴らしい作品を繰り出していく先駆け的名作だね。

あいやー、わたしだってこれ、何十回と観てるのに、未だ映画館で観たこと無いからねー。
午前10時は早起きできずに行けなかった(笑)いつか大きな画面で観てみたい。
新たに見直すと色々と発見があるし、わたしはそーゆー映画体験が溜まんないほど好きなんだ。
これは映画ファン共通の楽しみだよね。
pu-koさんも機会があったら是非再見!

老けてからの・・・

実はね、昨日「グリフィン家のウエディングノート」観ちゃったんだよね~。
そ、老けてからのデ・ニーロさ。まさに「やっつけ仕事」的な・・・
そんなの出てほしくないよね。
スーザン・サランドンやダイアン・キートン、今は亡きロビン・ウイリアム氏まで
ご出演されていましたがね。ドタバタ喜劇だよ。仕事選べば、って感じ!?

私はコレずーーーっと前に観てるからマジ内容や出演者は
全く覚えていない。ハーヴェイ・カイテルわっか!!ロンゲきっも!!

金曜日旧作1本無料時(笑)に借りてよぉ~く観直します!!
しかし若かりしデ・ニーロ、最盛期の重厚さがじぇんじぇんありませんなぁ。
優しそうな目は変わってないけど。うん。

Re: 老けてからの・・・

chacoさん

わたしがデ・ニーロに夢中になって過去作むさぼり食いだした頃って、80年代後半~90年代の多分彼の全盛期。
過去作おっかけて、観るの観るの鳥肌ものの演技で、好きとかファンとかそーゆーのを超越して神様みたいに感じてたデ・ニーロ。
ほんと最近の小手先感、小物感、残念感が歯がゆくて・・・。
『グリフィン家~』に至っては観てないです。
いつからデ・ニーロ作品を観なくなったのか?悲しい・・・。

年取ってもいい感じにずっとポジションキープしてる役者もいっぱいいるのに。
なんかデ・ニーロの「仕事選ぼうよ」感って なんなんだろうか?
いや、まあ、これまでがレジェンドすぎたからかもしれないけどね・・・。

これ、みんな若いしぎらぎらしてて、何度見てもやっぱ圧倒される!
ハーヴェイ・カイテルのズラ笑えるよ。
chacoさんも機会あったら再見して~~!!  
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