『サードパーソン』 巧妙でトリッキーなストーリーに酔う ※ネタバレ

『サードパーソン』「2013」イギリス=アメリカ=ドイツ=ベルギー
原題/Third Person
監督/ポール・ハギス
出演/リーアム・ニーソン  ミラ・クニス  エイドリアン・ブロディ  オリヴィア・ワイルド  
     ジェームズ・フランコ  マリア・ベロ  キム・ベイシンガー 他


Third person


『クラッシュ』のポール・ハギス監督による恋愛ミステリードラマ・・・とでも言いましょうか。
公開当時うっかり観逃して「ムッキーーー!!」ってなってたのをやっと鑑賞。
パリ、ローマ、ニューヨークを舞台に3組の男女の愛や痛み、心の再生や希望、それぞれの結末。
『ミリオンダラー・ベイビー』の脚本家としても知られるポール・ハギスの紡ぎだすストーリーは実に巧妙、そして深く心に響いて・・・。
いやぁぁぁぁ、久々に観応えのある映画だったっす!
トリッキーな物語からいきなり真実が見えた時の鳥肌の立つ衝撃ってば手羽!!
ああー、大きなスクリーンで味わいたかったよ。

んーさて、映画で語られるのは3組の男女の物語。

1)フランス、パリ。
ホテルで新作を執筆中のピュリツァー賞作家マイケル(リーアム・ニーソン)
彼にはアンナという愛人(オリヴィア・ワイルド)がいる

Third person
始終イチャコラな不倫カップル   援交にもちょと見える年齢差


ホテル暮らしで新作を執筆中のマイケルだけれど、なかなか筆が進まない。
そんな間にもアンナが部屋へ訪れて、なーんか大人の駆け引き的な恋愛を楽しんでるんですね。
駆け引きしてるわりにはお互いかなりイチャイチャ♡ 


Third person
「彼女はいるの?」 始終不幸顔な妻(キム・ベイシンガー)


電話でマイケルと話す妻はアンナのことを既に知っているようなやり取りがあって、
「ああ、この夫婦はもう壊れてしまってるんだな」という雰囲気が窺えます。
マイケルはアンナの事を浮気でなく本気で考えているようです。
で、一方アンナ。
電話で妻と喋るマイケルに嫉妬して電話番号のメモを隠したり、拗ねて喧嘩をふっかけたりする。
マイケルに対する気持ちはホンモノであるというリアクション。 なのに、何故か不穏な行動を取るんです。
”ダニエル”って名前の誰かしらからメールがちょこちょこ落ちる。
ん?ん?なに??
この謎なミステリー感で、ただの不倫カップルの話が面白くなるんですよ。


Third person
若い恋人とラブラブでおじさん頑張ってます。


Third person
戻ったらマイケルからの白薔薇が部屋いっぱい・・・



2)所変わってイタリア、ローマ。
アメリカ人のスコット(エイドリアン・ブロディ)は仕事で訪れたローマで英語が通じなかったり、ちょっとイライラ。
そんな時バーでロマ族の女性モニカ(モラン・アティアス)と出会い心惹かれるスコット。
下手なナンパに最初は適当に受け流すモニカですが、お互い小さな子供がいることが会話のきっかけになります。
そこへ一本の電話がかかり突如モニカは店を飛び出してしまう。
残されたスコットが帰ろうとして、慌てたモニカがバッグを忘れていったのに気づきます。


Third person
ナンパしたくてウズウズな 鼻の曲がったスコット(てゆーかエイドリアン・ブロディ) 


Third person
スコットのウズウズに気づいたモニカは・・・


バッグの置き忘れがきっかけで再会するスコットとモニカ。
しかも彼女の幼い娘が誘拐されていて、取り戻すのに大金が必要だと話がキナ臭い方向に。
巻き込まれる形でモニカを助けることになるスコット。
正直モニカの態度はどこか胡散臭いし、おいおいスコット騙されてんでない?って観ながら感じる。
で、どうもスコットも「これは・・・」ってそれをフワッと承知致してる節も見られる。
ところが、何故かスコット、一目ぼれとか、恋愛感情を抜きにして彼女を助けようと行動する。なぜ?
スコットの過去が徐々に明らかになった時に、”もしかしたらそうかな?”と思いながらも、おお・・・ってなります。
まあそれは観ていただくとして。


Third person
心配で駅で添い寝してあげるってか! 紳士!


Third person
あ、イタシちゃいますか、そーですか


3)アメリカ、ニューヨーク。
元女優のジュリア(ミラ・クニス)は離婚した夫リック(ジェームズ・フランコ)と息子の親権を争っていて、裁判費用のためホテルのメイドとして働くことになります。
事故で息子が命を落としかけ、しかもジュリアが故意にやったのでは?と疑われた経緯があり面会もままならない状態。
このジュリアという女性、かなり豆腐メンタル、もしくはちょっと病み入ってる。
以前ソープドラマ系の女優だったけれど出産の為に辞めていて、きっとそれも心の澱になっている。
子供の事故の事もあり、離婚弁護士テレサ(マリア・ベロ)にはカウンセリングを強要されていて、子供との面会には規制が掛かって会えない。
愛する息子に会いたい、会えない。
八方塞がりで追い詰められているジュリア。


Third person
追い詰められたジュリアをミラ・クニスが大きな目で好演


一方、息子を引き取り恋人と三人で暮らしているリック。
アーティストとして成功しているリックは、息子を引き取り幸せなはずなんですが、接し方が分からず悩んでいる。


Third person
天使の微笑みキターー ジェームズ・フランコの!! 


事故か故意かは分からないけれど、息子が死にそうになった原因はジュリアにあると、頑なに面会を拒絶するリック。
運の悪い事に、接見の場所変更を書いたメモを無くしたり、プリペイドの携帯が切れたりと、ジュリアに不利なように物事が進み、見ているこちらが胸が痛くなりました。
いつもはキュートなミラ・クニスが、よろよろになっちゃうんだけど、彼女良かったなー。


Third person
ジュリアの遅刻に激怒の弁護士テレサ(マリア・ベロ) この人も始終不幸顔でピリピリ   


さて、ここまで観てきて、三都市の三組の男女、特に関わりは無さげ。
でも物語の中で共通的なキーになっている事柄は浮かび上がってきます。
まず一番に浮かぶのが「子供」。
皆、自分の子供に関して何らかのトラウマや問題を抱えているのが分かります。
それから「プール」もしくは「水」、「電話の会話」、そして「watch me 見ててね」というメッセージ。
謎かけみたい? ええ、そうなんです、かなりトリッキーな脚本なんです。
この3組の男女の共通点は?
この手の群像劇によくある
「登場人物がそれぞれちょっとずつ関係があり、エンディングで繋がる」 
なのかなーと思ってたんですが、・・・それってちょと違う。 違うけど違くない・・・。

だってねー、離れた場所にいるはずの登場人物が、接触するシーンがあるんです!
メイドをするジュリアが弁護士との待ち合わせ場所を書いたメモを忘れる。 
そこにマイケルが妻の電話番号を記入? え?
腹を立てたアンナがそれを隠す・・・なんで?!
マイケルはパリのホテルで執筆中でしょ?? 
ジュリアはニューヨークのホテルでメイドしてたんじゃないの??
え?なに?パラレルなワールド的アレなのか?


Third person
”アンナの部屋”で”マイケルが送った白薔薇”を見るジュリア・・・  ってなんで??!!

うおぉぉーー、ネタバレしないようにレビューを書くスキルのないダメダメブロガーですごめんなさい・・・うう・・・。
今回ネタバレごめんで結末語ってます。ほぼ!!ww

↓WARNING~ネタバレです~WARNING~ネタバレです







結論から言うと、この映画の中で実在する人物はマイケルとアンナ、そして別れた妻のみ。
残りの登場人物は、実はマイケルの書く小説の中の登場人物だったというオチ。
ええええ~~~??
からくりが分かった時にぞわわわ!!って鳥肌が立って、頭の中にパッと光が射したような情報変換が起こるカタルシス。
おおお~この手の映画の醍醐味です。


Third person19
THE語り部いちゃこらするの巻

マイケルは自分の体験を小説に色濃く反映させるタイプの小説家。
自らの体験を元に物語を紡ぐんですね。
だから、『スコット』は電話をしていた一瞬の不注意で子供をプールで溺死させてしまったマイケルの経験そのものを持つキャラ。
その後悔の念から嘘かもしれないと思いながらもモニカの娘を助けようと必死になっている。

『ジュリア』は息子がもし死ななかったらというマイケルの希望的キャラでしょう。自分に過失があったかもという自責の念が彼女に色濃く表れている。メンタル弱めはマイケルの心の弱さか。

『リック』が息子としっくりいかないのは、「見ててね」と言われながらも注意を怠ってしまった自分を息子は恨んでいるのではないか?自分は本当に子供を想っていたのだろうか?というマイケルの葛藤かな。
息子ともっと向き合いながら過ごせばよかったと後悔しているマイケルの気持ちを表しているのでしょうか。


Third person
重く暗いやり取りはすべてマイケルの自我の現れ・・・


もっといろいろ含みもあるだろうし、何回か観るともっと発見があると思うんですが。
取りあえずローマとニューヨークで語られる物語はすべて小説の中の出来事。
それどころか、パリでのアンナとのいちゃこらあれこれも、きっと小説上の事でしょう。
だってニューヨークでメイドしているはずのジュリアがパリのアンナとすれ違い、しかもルームメイクする部屋で白薔薇に囲まれるって、どーしてもあり得ない。
やはり小説の中の出来事だと思うのが妥当でしょう。
うううう~~なんという巧妙なシナリオ・・・。


Third person
全ては幻  小説の中の事・・・


M・ナイト・シャマラン的なトリッキーさがインパクト大ですが、それが映画の芯かというとそうで無いのがハギス監督の手腕だなと思います。
登場人物それぞれの愛、悲しみ、傷が丁寧に描かれていて、これに深く感動しました。
何度がググっとキたんですが、特にジュリアと息子の邂逅が溜まらんかったのぉぉ。
ジュリアから息子を介して語られたリックへのメッセージに思わず落涙。
あ、愛だよ愛!!


Third person
脆くて弱いけど、息子への愛は本物  ミラ・クニス良かったわ~


愛する人々をも自分の仕事(生きる事)に利用するマイケルは、よくよく考えるとかなり放漫な人間。
妻も息子も恋人も、ネタとして自らの表現のためなら使う。
だけど、リーアムの演技が深淵で嫌味な感じが皆無。
深い懊悩と弱い大人の脆さが垣間見えて、ああ、やっぱりリーアム上手いな。
『48時間』以降すっかりアクション役者としての地位を確立したリーアム。
それも悪くないけれど、みーすけ的には演技で魅せる彼の映画が断然好みだな。
妻を捨て選んだ恋人をも傷つけるマイケル。
そうしないと小説家として生きていけない彼の業が痛々しくも切なかった。

Third person
大人(初老)の魅力  アンニュイ ・・・っふ   


いや~、まあしかし個人的にはやっぱこのジェームズ・フランコの天使の微笑みかな~。
フランコ君の微笑みって、これかなりの破壊力かと。 あ、個人的趣味ですが、すません。
笑った時にへにょってたれ目になるのがなんとも好物です はい。
賛同者の方のみに、どぞ・・・。

Third person18
キラキラ~~ン ☆☆
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【映画】『サード・パーソン』知的で巧妙!

サード・パーソン (2013)アメリカ 原題:Third Person 監督:ポール・ハギス 出演:リーアム・ニーソン/ ミラ・クニス/ エイドリアン・ブロディ/ オリヴィア・ワイルド/ ジェームズ・フランコ/ モラン・アティアス 日本公開:2014/6/20 Kaz.さんのところで紹介されていた ポール・ハギス 監督の...

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やばぃなー。ネタバレでもええからBlog書いてよ!て督促してましたが、warning〜のとこで読むのやめた(。-_-。)ゴメン。だって楽しそうなんだもんー。みーこ、文才あるな!腕上げたね☆huluまだリストになかったけど待つかDVDゲットするー。
(4000円するんだよねー、、)

Re:

め ちゃん

あ、途中で止めた?でもそれ正解!!
これ絶対まっさらで見てほしいから!!
Huluでもレンタルでもなんでもいーから取り合えず観て。

お、なによー褒めてるじゃーん(笑)
スキルアップしてるかな。
日々精進するぜ。

No title

やーー、これ面白かったね。
私もこのトリッキーな知的さにうなりましたよん。
そうそう、リーアムさんにはもうアクション卒業でいいからこういう演技で魅せる役を演じて欲しいね。
フランコ君も変なラッパーみたいなのとかw汚っぽい役が好きみたいだけど、本来ソフトなイケメン君だもんね。笑顔が素敵~。
ミラもどこぞのプリンセスとか(見てないけどw)やるより、地道なものをもっと見せて欲しいね。

私も半分ネタバレだけどTBさせてくださいな。

Re: No title

pu-koさん

こーゆートリッキーな脚本って、色んなことが分かった時に頭の中でパパパってスパーク起こしたみたいになってストンと全体像が落ちてくる瞬間のカタルシスっつーか、そーゆーのたまらなく好きです。
ドーンバーンな映画が続いてたから、久々に頭使って楽しかった。
リーアムもお年だしこちらに戻って欲しいね。
そーなのフランコくんの笑顔は極上なのよ!ハンサムな役者ってわざと小汚なくして演技を見せようと頑張る傾向大だよね。
そんな中でキアヌの小汚なさは素(笑)
来日時の寝癖と小汚なさが悲しいくらい凄かった……。

観ましたよ~

コレはね、要チェックしておいた映画で今年の4月(私が還暦を迎えた月)
に観たよ。

そーだよね、最初「え?」「あら?」だったけど、
「ほっほ~、なるほど」ってタイプライターが出てきたら
分かったりして。

けど、分かっていても引き込まれるストーリー。
面白かった。だが、リーアム爺さん何かエロい。
ジェームズ・フランコ君、せがれの一個上。全然カンケーない情報だったけど。

スパイダーマンでイヤな役。127時間で独り芝居。いい役者になったね。

Re: 観ましたよ~

chacoさん

そうですか、還暦の月にご覧になりましたか(笑)
わたしがこの映画いいなと思うのは、巧妙なシナリオありきなんだけど、それより
登場人物の気持ちを丁寧に丁寧に描いているところ。
ん?おやおや・・って色んな可能性を考えて観てるんだけど、途中から物語に
引き込まれてしまったのは、ひとえにそこが大きいと思うんですわ。

あ、あと役者の演技ね。
そそ、リーアムさんエロかったw年齢設定わかんないけど、オリヴィア・ワイルドが若いから
おじさん頑張ってますね!って思ったもん。

だけどなんたって、フランコ君だわー。
『127時間』よかったなー。でも『スパイダーマン』でのたれ目ふにゃりの笑顔にビビビだったもんな。
ええ、ホントいい役者になってます♡

No title

これホント面白かったですね~
私も同じく、リーアムには、(アクションもサマになるけどさ)演技を堪能できる作品で、観たいっす。
こういう作品は、もちろん監督の手腕が大きいけど、奇を衒った狙いばかりに観られちゃうところ、キャストの演技力がないと作品として質が落ちちゃう感じがします。
また観たくなりました~

Re: No title

じゅりさん

ねー!ビックリな脚本で凄く面白かったよね!
事前情報ほぼ無し(pu-koさんのフワッとレビューのみ)だったので、それがプラスだったわ。
トリッキーさも凄いけど、役者の演技がしっかりしててストーリーに魅せられましたよん。
繰り返し観たら複線とかがより分かって味わい深くなるので尚染みる~♪
再見してして!
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Author:みーすけ
いらっしゃいませ
天邪鬼なので映画の好みも多少偏りありです
毒も吐き、妄想も垂れ流しますが笑って許してくださいませ
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