「オンリー・ゴッド」 復讐とおっさんのカラオケ映画

「オンリー・ゴッド」 (2013)フランス=デンマーク
原題/Only God Forgives
監督/ニコラス・ウィンディング・レフン
出演/ライアン・ゴズリング クリスティン・スコット・トーマス ヴィタヤ・パンスリンガム

オンリー・ゴッド

ある事情でアメリカを追われたジュリアン(ライアン・ゴズリング)はバンコクでボクシング・クラブを経営する傍ら、裏では麻薬密売組織を運営していた。
ある日、兄のビリー(トム・バーク)が売春婦を殺した報復で何者かに惨殺される。
組織を取り仕切る母親のクリスタル(クリスティン・スコット・トーマス)は、溺愛する息子の死に激怒、ジュリアンに兄の復讐を命じる。
しかしその相手はバンコクの裏社会を牛耳る元警察官、チャン(ヴィタヤ・パンスリンガム)だった。

オンリー・ゴッド
相変わらず目と目の間隔が狭いライアン。外見カッコいい彼を拝めるのは、中盤までですよ~~。

なんだか変な映画観ちゃったなぁ~。久々の困ったちゃん。
不条理でシュールで奇妙奇天烈ですっとこどっこいなカルト映画。
では面白くなかったか?と言えばそんな事もなく。
ちょっと判断に困ります。
深読みすればいくらでも掘り下げ甲斐のある深ぁぁぁ~~い映画なんでしょう・・・か?

ストーリーは極めてシンプル。長男を殺されて激怒する母の命を受けた弟ジュリアンの復讐譚。
このジュリアン、究極にセリフが少ない。表情も無い。
前作「ドライブ」でも主人公のセリフが少なかったですが、微妙な表情の変化や仕草で熱い想いとか、ピュアな恋愛感情が伝わってきて胸キュンな純愛映画に感動したもんです。
今回は表情も変わらず、はっきり言ってこの主人公何を考えているか全く分かりません。

オンリー・ゴッド
「考えるな、感じろ」ですか??? む、無理っす(笑)

オンリー・ゴッド

母、クリスタルにクリスティン・スコット・トーマス。
彼女の存在感凄すぎですから。
母クリスタルの屈折した愛情が怖い怖い。兄を溺愛してジュリアンを思い切り蔑んでいる。
これっていわゆるカインとアベル、ソーとロキなわけですね(笑)
兄弟は母親と近親相姦してるのでは?と感じました。いや、多分そうでしょう。
クリスタルの前で全くヘタレなマザコン男に豹変してしまうジュリアンの屈折は母の抑圧を受けて育った為。
彼が性的に変態さんになってるのも、それが原因なんでしょうね。

オンリー・ゴッド
シャキーーーーン!!  って音で笑っちゃうわ。

そして、真の主役とも言える狂言回しとして登場する元警察官チャン。
このチャンさん、娘を殺された父親に復讐を促し、次に娘を売春に追いやったことを責めて父親の手を切り落とす。
「なんでやねん?」と思わず突っ込みましたよわたし。
何なんだこの不条理さ?やはり「考えるな、感じろ」なのか?
いやいや無理だってば、こっちは混乱しますってば。
で、独特な不条理演出に混乱したみーすけがどうなったかと言うと、笑いのツボに入りまして。
チャンがシャキーーーンって刀を抜くたびに可笑しくて可笑しくて笑える。
そこへ、一仕事終えたチャンさんたらいきなりなカラオケ。
カラオケ??!! しかも上手い(笑)
歌うチャンさんをうっとりと見つめて聞き入る部下たち。
もうシュール過ぎるってば~~!
ごめんなさいってくらい笑えて、観客が少ないのと、スクリーンの音がデカいのに乗じてずっと引き笑いしてました。

オンリー・ゴッド
なんせ映像が赤い!青い!緑ぃぃ!!

原色を多用した映像、壁の模様、遠近感を感じる通路や部屋。
前作「ドライブ」で感じたレフン監督独特の映像美は今回も健在です。
バイオレンス描写もパワーアップで、血とかホラーとか苦手な人は辛いかな。
観ている間、色々な監督の作品が頭に浮かびました。
タランティーノにロドリゲス、アルジェントの「サスペリア」、リンチの「マルホランド・ドライブ」、キューブリックの「シャイニング」の場面が頭をよぎってしょうがなかった。
そして何よりも本作は「エル・トポ」のアレハンドロ・ホドロフスキー監督に捧げられちゃってるんですよね。
これ捧げられてもちょっとなぁと心配してるのわたしだけかな?

オンリー・ゴッド

母の命令で対決するジュリアンとチャン。
結果は見えてたけど、強すぎだってばチャンさん。
神的存在、復讐の天使チャンに怖いものは無いのです。
戦う二人を周りでじっと見つめるチャンの部下やジュリアン付きの娼婦。
なんでしょうか、この観客置いてけぼり感。
やっぱり一周して笑っちゃうんだよね。

オンリー・ゴッド
えっと・・・ライアン・ゴズリングです(笑)

で、ボッコボコにされるジュリアンなんですけど、この辺になるとど~にでもしておくれよって感じになってまして。
チャンさんまた歌ってくんないかなぁとか考えながら観てました。
演者が真面目に演じれば演じるほど笑えてしまう。
深く考察しても裏でレフン監督があっかんべーしてるんでしょ?って感じてしまった。
あ、そうでなかったらすんません。
わたくし如きが少ない頭の回路を如何にこねくり回しても、説明なんてできない映像体験でした。

オンリー・ゴッド
天使と悪魔の邂逅とでも言いましょうか。 やれやれ!やっちまえーー!!

その少ない頭の回路を酷使して語るなら、ラスト近くのかなりグロテスクなジュリアンの母への行為。
自分が愛する物への回帰を望んだが、失う前にその手でせめて触れておきたかったのか・・・。
罪と暴力に対する宗教的、哲学的感覚とマザコン男の自立。
罪を受け入れ神へその頭を垂れて許しを請う彼には常人には計り知れない懊悩があるのでしょうか・・・。
いや、分からん(笑)

オンリー・ゴッド
「ブロンソン」でも「ドライブ」でもレフン監督ってオネエちゃんを陳列するのがお好きですね。

朗々と歌うチャンさんと共に流れるエンドロール。ええ?!終わらせちゃうの?
ひえ~~ もうやめて~~可笑しい~!!
やはりわたしにとってはおっさんのカラオケ映画でした・・・。

オンリー・ゴッド

2013年のカンヌで、途中退場にブーイング。酷評と賛美の両極端だったとか。
レフン監督とゴズ兄さん、すっかり意気投合して、次はコメディーを撮ってみたいらしいです。
いえ、本作みーすけ的に充分コメディーでしたけど・・・。
困っちゃうけど、妙にクセになりそうな映像体験。
いえ、決してお勧めはしませんが(笑)興味がある人は体力のある時にどうぞ。
チャンさんのカラオケは必聴ですよ♪
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No title

わははww
なんでしょうねぇ、これ。
深いんだか浅いんだか、まじめなんだかふざけてんだか わからんちゅーのw
ゴズリングなんて、どう見てもコメディだよねぇ(笑)
おっさんのカラオケ(しかもムード演歌風)にも目がテンで、しばらくしてプっと吹き出したわ。

「凄い!」とほめてる方も多いけど
わたし的にもやっぱおっさんのカラオケ映画でしたよ、うん(笑)

Re: No title

pu-koさん

レフン監督は、究極のパーソナル映画で、今やりたいこと全てを表現したとかインタビューで語っているようですが、それがおっさんのカラオケ?
あれは行った罪の浄化らしいですわ。
好きにしてくれ(笑)
ゴズリングも出来上がった作品通して観たときに正直「俺の思ってたのと違うような…」と思わなかったか、ぜひ聞いてみたい所ですなw
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