「複製された男」 脳力試されちゃいました

「複製された男」 (2013) カナダ=スペイン
原題/Enemy
監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演/ジェイク・ギレンホール  メラニー・ロラン  サラ・ガドン  イザベラ・ロッセリーニ


複製された男


大学で歴史講師として働くアダム(ジェイク・ギレンホール)は刺激のない日々に空虚なものを感じていた。
美しいがどこか気まぐれな恋人メアリー(メラニー・ロラン)とも何となくギクシャクしている。
ある日同僚に勧められた映画のDVDを観ていたアダムは、劇中に出てくる俳優が自分とそっくりであることに気づく。
あまりの酷似さに驚愕を通り越し恐怖を感じるアダム。
取り憑かれたように役者の事を調べ、アンソニー(ギレンホール 二役)という本名と自宅まで探りあてる。
我慢できずにアンソニーの自宅に電話したアダムの声を聞き、夫からの電話と間違う妻ヘレン(サラ・ガドン)。
二人は顔だけでなく、声もそっくりだったのだ。
とうとう出会うことになるアダムとアンソニー。
その邂逅は彼らのみならず、ヘレンやメアリーも巻き込み意外な展開をみせるのだった。


複製された男
何となく覇気のない日々を淡々と過ごす歴史講師のアダム 授業の内容も伏線・・・なのかなぁ。


複製された男
アンソニーのプロフィール写真と自分の写真を比べるアダム。 そりゃそっくりでしょうよ、二役だしさ(笑)


ノーベル文学賞作家でポルトガル出身のジョゼ・サラマーゴの小説を 「灼熱の魂」 「プリズナーズ」 と話題作の続くカナダの新鋭 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映像化した心理ミステリー。
『”脳力”が試される究極の心理ミステリー』 なんて、挑戦的な宣伝文句にドキドキで鑑賞。
ただ、ちらしのイントロダクションに書かれていた監督のコメント ↓ 

わたしにとって 「複製された男」 は今まででもっともパーソナルな作品だ。  

ん??これと似たようなコメントを監督が発してたトンデモ映画を今年観たぞ~。
そう、今年一番のすっとこカラオケムービー 「オンリー・ゴッド」 !
レフン監督が同じコメントを!! なんかちょっと、やな予感するんだけど・・・。


複製された男
メタファー(?)として度々現れる蜘蛛。  「SF巨大蜘蛛の逆襲」とかって映画ぢゃありませんので。

映画としての掴みはかなりインパクトありです。
冒頭からただならぬ雰囲気の映像が流れて、音楽もかなりホラーっぽい。
ビルだかマンションだかの一室で繰り広げられる、謎なセックス・クラブのようなおどろおどろしい世界感。
大嫌いな蜘蛛が、しかも毛のいっぱい生えたおっきい蜘蛛がどどーーんと出てきて おぞぞぞぞぉ~!
裸のおねえちゃんが部屋をウロウロし、ストリップ小屋さながらのショーが繰り広げられ、おっさんたちと一緒に固唾を飲んで食い入るように見つめる主人公。
指輪がある事でこの人物はアンソニーだと後に分かるんですが・・・。

複製された男
目隠ししてるようでしっかり見てるし! 


複製された男
あんた誰よ!?  あんたこそ誰よ!?  まあまあ・・・

何となく不穏な雰囲気溢れて繰り広げられるストーリーはわりとシンプル。
自分とそっくりの男を見つけた主人公が、謎を知りたくて奔走していく行くうちに、身近な人も影響されてしまう・・・。
それ以外には特に大きな事件なんかは起きないんです。あ、そっくりな人物がいるってだけで結構な事件ですけどね。

もう一人の自分に出会う超常ミステリーな展開に対する答えを、あれこれ挙げてみると

1)双子もしくは兄弟説  
2)分裂症などの頭の病気系
3)ドッペルゲンガーや幽霊など超常現象、オカルト系
4)エイリアンによるアダプト系
5)クローン人間
などなど・・・。

本編の至る所にアイテムやセリフが出てきて、それが答えに繋がるのか?と神経研ぎ澄ましました。
蜘蛛、ブルーベリー、母親の留守電の言葉、アダムの講義の内容、妻のヘレンのちょっとしたセリフ。
それらが物凄く意味深で象徴的。
謎解きモード全開で観てましたが、だんだん実は大した意味が無い気がしてしまった。
要は頭疲れたってことなんですけどね(笑) ストーリーに身を委ねました。
ボンヤリと自分なりの結論を頭に浮かべながら観ていたら・・・。
ばばん!! いきなり衝撃のエンディング!!
「ふはぁぁ?????」  ←マジで口開けちゃったよ


複製された男
「僕のパーソナルな映画なんだよねぇ。」  「うへぇ!?監督ってこんな欲望あんの?」 

そうか、ヴィルヌーヴ監督のパーソナルな映画なのか・・・そう言われちゃうともう何にも言えないス。
しかし、まさかここまでぽ~~んと突き放されるとはね。参りました。
今年で一番、いえ、ここ数年で一番ビックリしたエンディング。 お手上げだよ~。
「オンリー・ゴッド」も参ったけど、あっちは笑えたもん!
エンディングの衝撃に推理も何もすっ飛んじゃいました。
でも悔しいのでね、丸一日色々考えたんですよ。
で、やっぱ分かんなくて降参。 公式ページの監督たちのコメント読んだら・・・。
あれ?わたしの最初の推理、半分以上正解じゃないですか!
でも、でも、あのエンディング、その結論とリンクしないんじゃないですかぁ??? 


複製された男
アランの彼女を演じるメラニー・ロラン、大胆に脱ぎまくってました。 

複製された男
妊娠6ヶ月の妻を演じるサラ・ガドン、こちらも妊婦ヌードを披露。 大きなお腹がホンモノっぽかった。

ぽか~~んとはしたんだけど、映画として嫌い?って聞かれたら嫌い!・・・でないのが悩ましい(笑)
高層ビルが建ち並ぶ無機質なトロントの風景は硬質でヨーロッパぽくて好み。
セピアがかった画面も好きだし、金髪の女性陣の美しさが映画の雰囲気にピッタリはまってました。
不条理やカオスに取り込まれ、もがく主人公と一緒に答えを探すミステリーな展開も嫌いじゃない。

同じように不条理で、大好きな「マルホランド・ドライブ」級になれたかもしれない!
ただ、伏線や意味深なモチーフが無造作に乱雑に散りばめられるだけで、全然回収してくれないまま”あの”エンディングはどうなんでしょう。
好き嫌い、感性の違いで感じ方が違うんでしょうが、わたしの脳力の限界って事かな~、へいへい。
哲学的カオスな文学を映像化すると、あんな感じになるのかな。
サラマーゴの原作を未読なので何とも言えないけど、雰囲気としては不条理ショート・ショートの大家、都筑道夫氏の作品を映像にしたらこんな感じかもしれないなと思いました。


複製された男
相変わらず目周り濃いジェイク。 年々濃さがエスカレートしてるような。 化粧品変えた?(笑)

「プリズナーズ」に続いてヴィルヌーヴと再タッグのギレンホールの演技は間違いなかった。
ちょっと引き気味な講師のアダムと女好きで暴力的な役者のアンソニーの演じ分けはさすが。
邂逅後、お互いが顔も声も後天的な体の傷まで同じだと分かった後に取るそれぞれの行動の違いが面白かったし。
役者アンソニーの「しょ~がね~なコイツ」的行動は男性のエゴそのものって感じ。
それに対して講師のアダムは事態に混乱するのみで、言いなりになってしまう。
この違いも映画の結末にリンクして行くんでしょう、多分・・・。
いかんせん、登場人物が少ないので、途中あまり展開の無いシーンが続いて正直ちょっと間延びした感あり。
上映時間90分と後で気がついて、もっと長い感じしちゃいました。

複製された男
かなり威圧的な母親像のおっさんみたいなイザベラ・ロッセリーニ。  「ブルーベリー食べなさい!」

最初から不条理ミステリーだと分かって観たら、また違う感想になったかもしれません。
とにかくエンディングには正直驚愕したのでね(笑) ぞわわ!って鳥肌立って、夢に見そうで嫌だった。
もう一度観たら更なる発見があるかもしれません。
ご覧になった方はどんな感想持たれたんでしょうか? すっげ~そこ知りたい! そんな映画でした。
これも何年か経ったら、カルト映画入りする・・・のかなぁ?

複製された男
「生命線が途中で切れてますね」   「え?!(汗)」

男性にとって、母親や妻や恋人の束縛って蜘蛛の糸に絡められるように感じるものなんでしょうか?
因みに原作には蜘蛛は出てこないとか。 
やっぱ監督のパーソナル色強い映画なのね~・・・。
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【ネタバレ感想】 複製された男

複製された男(2013)カナダ・スペイン原題:Enemy 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ出演:ジェイク・ギレンホール/メラニー・ロラン/サラ・ガドン ヘレン/ イザベラ・ロッセリーニ 日 ...

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No title

えー、どんなエンディングなの~?気になる!
映画をなめんなよとの感想を目にしましたけど(笑)
謎が回収されないのは辛い。でも気になって仕方ないじゃないですか(笑)
「女性」が鍵になるのかな?

これこちらではレンタルがベリー・ロング・ウエイトでトップにリストしてるのにいまだ届かないんですよね。
アマゾンでストリーミングしようかなぁ。

Re: No title

pu-koさん

わはははは!
映画なめんなよですか!?
うーん、怒る人もいるかなぁ(笑)この監督びっくりさせるの好きなのかも。
前作もラストびっくりしたでしよ?
でもね、嫌いぢゃないのよ~、悩ましいのよ~。
リンチやクローネンバーグやレフンの香りがするの。
ロング・ウェイトでドキドキ待ちながら、でもハードル上げずにニュートラルで観てね♪

No title

思ったよりもずっと面白かったし、丁寧に作られた一本でしたね。
悪夢のような浮遊感と怪しさも雰囲気あってよかった。
監督さんもこれから目が離せませんね。
TBしま~す。

Re: No title

pu-koさん

何とも言えない独特な雰囲気が捨てがたいよねー。
何とも不思議な映画だけど 後引く感じで・・・。

TBありがと♪
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